カメレオン

妹とノートパソコンを開いてDVDを見ていた。わたしが制服を着ていた頃、その最後の夏、広い体育館の馴染みの薄い高い天井の下で踊った舞。伝統とよばれていた。学園最盛期の入学年度に当たるのがわたしの学年だった。ちょうど。少子化の煽りを食らって、妹の…

ミッシング

昨日、祖母が家の中でクラゲをなくした。夕飯の和え物に使う予定だったそうだ。わたしは祖父の命に従い、家宅捜査をした。クラゲは出てこなかった。冷やしきゅうりとクラゲの和え物。夏の味。祖母はわたしが好きなことを知っているので、季節を問わず食卓に…

little gripes

知らなければよかったことというのは往々にして目の前に現れるけれど、わたしにとって知らなければよかったことというのは他の誰かにとっても知らないでいる状態が好ましいということなので、話すには気がひける、というのが困りものだ。上手なしがらみの捨…

夕日の出ている時間だけ息ができる

語らなかった言葉で知られたいというのは暗い欲望だ。身勝手な幻想だ。消去法的に探り当てられるのを暗い部屋で待っている。語らなかった言葉というのは、老いも死にもしない。捨てられずにいる。

読書感想文

今日、読書感想文の話が出た。夏休みの特別課題という印象が強い。実際、記憶に残っているのは中学入学に伴う課題(の一角)だから、夏の専売特許ではなかったらしい。30ほどのリストから選択しての執筆だったが、何を読んで語ったのか、もう忘れた。シャー…