little gripes



知らなければよかったことというのは往々にして目の前に現れるけれど、わたしにとって知らなければよかったことというのは他の誰かにとっても知らないでいる状態が好ましいということなので、話すには気がひける、というのが困りものだ。

上手なしがらみの捨て方とは何だろう。
逗子に向かう新宿湘南ラインの椅子取りゲームに参加しながら考えてみる。
完璧な人間関係の中にあってさえ重荷を感じてしまうとは何事だろう。

失われた時を求めて、というタイトルのフランス小説がある。読んだことはない。
“失われた”というのは、過ぎ去ったの意だろうか。なにか取り返しのつかない、一方的な事象を不可逆的と言う。わたしはこの不可逆的、という言葉がすきだ。断定された事実として横たわる。冷たく無機質でカチッとした錠前を思いだす。
過去への扉には鍵がかかっている。つねに。